詩歌藩国広報部 第二支部

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zoom RSS 自国移動機関のうんちく

<<   作成日時 : 2008/04/28 22:19   >>

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詩歌藩国は北国である。
それもただの北国ではない。
ニューワールドでも最北端に位置する、極寒の地なのである。


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それはアプローの涙が終了してまもなくのこと。
リンクゲートを使って第五世界の過去へと移動し、藩国船が大地へと根を下ろしたばかりの頃。
一部をのぞき、帝國に所属するほとんどの国は雪の舞う凍える大地へと降り立った。
中でも詩歌藩はもっとも北(アイドレス地図上では沖縄)に居をかまえることとなった。

他藩国の集中している東京近辺を避けたことは、藩王の英断であった。
結果としてこれまで一度も敵の侵攻にさらされたことはなく、シーズンオフまで無事に乗り切っている。

とはいえ万事がうまく運んでいたわけでもない。
投錨の後、地表部分に街をつくり道をつくり、国として最低限の機能は確保したが問題は山積みであった。
なかでも深刻だったのは、物資の流通である。

繰り返すが、詩歌藩国は北国である。
冬のあいだは数メートルの高さにおよぶ積雪で交通が麻痺してしまう。
それゆえ車両の普及率は低く、かわりに飛行機の需要が高まった。

居住者の数にくらべて土地だけはあり余っていたことも、空輸策が取り入れられた理由のひとつかもしれない。
もちろん滑走路の除雪は必須だったが、国中の道路に除雪車を向かわせるよりはるかに現実的であった。
オーマ進攻に対抗するための軍事基地建設という急務もあり、コスト面の問題は度外視する形で空輸はおおいに利用された。

そうして時は過ぎ、シーズンオフである。

永く続いた戦いの日々にしばしの別れを告げ、放置されっぱなしだった国内の問題に取り掛かることとなった。 
まず問題となったのは、建国当初から取り入れられてきた空輸という手段、すなわち飛行機である。
人が空を自由に行き来するには、大量の燃料が必要だったのだ。

飛行機という乗り物は、燃料を馬鹿食いする。
それこそ車なんぞとは比較にならないほどである。
アイドレスが始まった頃はわんだっく中央市場からの買い付けもあり問題にはならなかったが、時がたつにつれて問題は深刻になってきた。

全国規模での燃料不足である。

北国人アイドレスに偏っていたつけが、ここにきた。
帝國のイグドラシルでは宇宙に行かねば燃料は確保できない。
しかし、それを可能とするのは東国人アイドレスの派生である。
FVBと宰相府が燃料供給を始めるにしても、消費は少しでも抑えたい。
こうして、飛行機に代わる物資輸送及び民間人の「足」を用意するための戦いが始まった。

のちの歴史にいう、詩歌藩国の転換期である。

国を運営する首脳部は悩んだ。
とりあえずの措置として車の導入を進めはしたものの、冬のあいだまったく身動きがとれなくなってしまうのはどうしようもなかった。

これを救ったのは、ひとりの冒険家の努力であった。

藩国の北西に位置する大遺跡。
その地下には巨大な洞窟があり、藩国のあちこちにある横穴と繋がっているのは科学者達の調査によってあきらかにされていた。
だがこの地下洞窟にはどこからか水が流れ込んできており、全容を調査するのは困難であることもわかっていた。
このため国家としての調査は中断され、長く放置されていた。
正確にいえば、されていたはずだった。

ある時、自称冒険家である男は思った。

「この洞窟の先には、いったいなにがあるのだろう」
「誰も答えを知らないのなら、自分でしらべてやるまでだ」

そういって男は自力で調査を開始した。
自作のボートに乗り込み、洞窟のマッピングを開始した。
貯金を切り崩して調査機材を購入し、暇さえあれば洞窟へと出掛けた。

周囲の反応は、だいたい似たようなものだった。
暇なヤツだと笑う者が大半を占めていた。
だが10人に1人、あるいは20人に1人、気づく者がいた。
男のまっすぐな眼差しと、まるで子供みたいに楽しそうな笑顔に。
やがて、調査を手伝いたいと申し出る者があらわれた。
男は嬉しそうに笑って快諾した。

冬のおとずれとともに調査を始めた男は、1人から2人になった。
雪が溶けて春になる頃には、2人から3人になっていた。
季節はめぐり、幾度目かの春が来る頃。
男達は調査団と呼ばれるようになっていた。

そうして男達は地下洞窟の全容を解明し、これを正式に発表した。
男達の活動は国中に知れわたり、これに目をつけた藩国首脳陣は冒険家の男にコンタクトをとった。
長年、アイディアだけは練られていたものの実行に移すのはためらわれていたある計画のためである。
地下洞窟の開発による、ボートを利用した地下水路の民間利用。
のちに言う詩歌藩国 ヴェネツィア化計画の発動である。

男達の調査によってつくられた地下洞窟の詳細な見取り図が、国を救ったのだった。

こうして燃料を使用しない輸送手段と民間での冬季移動手段は無事に確保された。
こんにちにおける詩歌藩国1家庭あたりのボート普及率は89%
ほぼ1家に1台の割合となっている。


画像


余談だが、洞窟に満たされた水は海水であり、また水温は年間を通して約20度前後に保たれていることがわかった。
これは藩国船が熱を発し続けていることに起因した現象だという。

通常であれば宇宙へと帰るその日まで機能を停止させ、燃料節約に努めるべきところである。
それをしなかったのは極寒の地へと降り立ったことに原因があった。
いかに強固なつくりの藩国船とはいえ、厳しい寒さにさらされ続ければ老朽化はまぬがれない。
それを防ぐためにエンジンを点けアイドリングを続け、内部機構の保存をはかっていたのだ。
この余熱が外部に伝わり、ちょうど藩国船を包み込むように広がっている洞窟の水を温めていたのである。

最後に、冒険家の男が遺跡でなにを見たのかを教えよう。
遺跡の壁に描かれた壁画には、ボートらしきものに乗って川を進む人々が描かれていたのだ。
遺跡の名はシーカヤック遺跡。
太古の昔、この地に暮らしていた人々もまた、地下水脈をボートで行き来していたのかもしれない。

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